かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

落下

 昨日、ちょっとした事故が起こって僕のスマホのディスプレイが粉砕した。事故っていうか僕のポケットからぽろりとこぼれ落ちたスマホが地面にたたきつけられただけなんだけどね。

 いつものようにコンビニに寄って温かい飲み物をすすりながらしばらく彼女と話をしていたんだけど、そろそろ帰ろうかってことでゴミを捨てに行こうとした。すると彼女が、走ってゴミ捨てに行って来て!って言うので、僕は不満を漏らしながらも言われたとおり走って捨てに行った。捨てた帰りも走って帰ったらきっと彼女が面白がるに違いないと思ったので、結構しっかり走って帰っていたら、ポケットからスマホが飛び出して地面に落下し、僕の走っていた運動エネルギーをそのまま受け継いで、ササーッっと彼女の足元まで滑っていった。今思い出すとちょっとおもしろい。書いてて笑った。

 彼女が拾ってくれたスマホは見事に画面に亀裂が走っていて、うきうきで走っていた僕は一気に現実を突きつけられた。過去何度か落としたことはあるものの、画面が割れるというような深刻な状況に直面したことがなかったのでどうしたらいいんだろうって思った。

 そしたら僕以上に彼女が物凄く沈んでいて、ごめんねって謝ってくれた。彼女が言ったから走ったのは確かだけど、無理やり従わされたわけでもないし、ポケットからスマホが落ちたことに関して彼女が罪悪感を抱く必要はない。僕はこの一連の事故において、一切彼女に対して、走れって言ったからスマホが割れたわ!なんて思いは抱かなかった。むしろ自分の不注意加減に嫌気がさして、どうしてこんなことになってしまったんだっていう思いしかなかった。

 でも彼女はごめんねって言いながら相当ショックを受けたみたいで、僕以上にへこんでくれていた。僕がスマホを落とす直前まで、彼女は走ってくる僕を見て楽しんでいただろうから、それが一気に悲しい状況に陥ってしまった落差はものすごかったんだろう。泣きながらごめんねって言ったり直る?って心配してくれる彼女が可愛かったのと同時にそんな思いをさせてしまって申し訳ないっていう気持ちでいっぱいだった。

 たぶん彼女は、僕がへこんでしまうことが嫌だったんだと思う。僕がへこまないように、彼女が代わりにへこんでくれた。直る?って心配してくれたのも、取り返しがつかないことだったら僕がずっとへこんでしまうだろうから、どうにか早いうちに直してってことだったと思う。

 目に涙を浮かべて謝ってくれる彼女可愛かったなあ。

 画面が割れたのは修理ではなくて新品と交換らしいので、早速明日行ってこようと思う。綺麗なスマホに戻れば彼女も罪悪感に囚われずに済むだろうし。そもそも彼女が悪いって思う必要はないんだけどね。

 お金はかかるけど、新品のスマホに戻ると思うとちょっとワクワクする。