かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

湧き水の美味しさ

 彼女は自分がなにを求められているのか分からない状況っていうのが嫌みたい。

 それは彼女が常に、相手がなにを求めているのか考えていて、その求めに応じようと思っているからだと思う。

 だから、例えば「上司が嫌な人で悩んでいる」っていう話を彼女にしたとすると、彼女はそれに対してどうしたら良いのかというアドバイスをするべきなのか、その悩みをただ聞くだけでいいのかを考える。彼女は物事を客観的に捉えて的確なアドバイスができる。彼女自身にも適切なアドバイスができる自負があると思う。それはもちろん驕りという意味ではなく、きちんと自己を把握しているという意味で。僕から見ても彼女のアドバイスというのは非常に的確だ。

 上司が嫌な人で悩んでいるという悩みを彼女に話せば「そうなんだ、大変だね」っていう反応をくれると思う。彼女は人の話をしっかりと聞くことができるから、聞き流したりせずしっかりと話を聞いてくれるだろう。そこで話が終わらずに、その悩みを何度も話して話題が堂々巡りになると、聞くだけでは相手が満足していないから何かしらの意見を述べるべきなのかもしれないと彼女は考える。相手が解決策を欲しているのか、ただ聞いて欲しいだけなのか、相手の求めていることが分からないという状態に陥ってしまう。話を聞いていて彼女の中に生まれた意見というものがあり、その意見を述べるのか黙っているのかというどっちつかずな状況で彼女のストレスは溜まっていく。

 事前に意見を聞きたいと言われていれば、そこですんなり彼女の考えを話すことができる。聞くだけでいいって言われればアドバイスなんて考えずに、ただそのままずっと聞いているだけでいい。なにを求めているのか言われずに、延々とその話をされることというのは彼女にとって相当なストレスになるようだ。

 彼女自身が何かについて話すときはどうか。

 だいたい彼女が考えていること、悩んでいることを話してくれる時は、どう思う?ってしっかり意見を求めてくれる。だから、それについて考えを述べればいいんだなってわかる。彼女は話の中で、意見を求めているよっていうのを聞いている側に伝わりやすく話してくれる。どう思う?ってわざわざ聞かれなくても今意見を求められているなっていうのは結構分かる。彼女はそうやって自分の思考を上手にまとめて、相手に伝えることができるから話を聞きやすいんだと思う。

 多くの人はそういう努力をしない、あるいはできない。自分の言いたいことだけをただ吐き出してすっきりする、そんな感じ。そういう人がどんな反応を期待しているかといえば、共感や同調だ。しかもたちが悪いことにそれを無意識下で求めている。だから共感して欲しい、同調して欲しい、意見が欲しいという明確な考えのもとでの発言ができない。

 彼女自身が考えてしていることを周りの人はしていないってことはもどかしいものだと思う。彼女が分かりやすく物事を伝えるというのを無意識にやっているとしたら、余計に周りの会話のレベルの低さに辟易することだろう。こう書くと彼女がとんでもない才人みたいだね。彼女は人よりも少しだけ気を配って少しだけ工夫をしてみんなと接しているんだと思う。それが僕から見るととても大きな違いに見える。小さなことに気付いているかいないかっていうのは意外と大きな差を生み出すものだ。

 彼女が感じるストレスというのは、彼女が気を付けていることとか、気を配っていることに周りのレベルが追いついていないことが一つの原因かもしれないなって思った。そんなに大それたことじゃなくて、本当に些細な差だとは思うけどね。水道水まじうめえ!って言っている人に対して、山の湧き水の美味しさを知っているみたいな。そういう。例えが下手でごめんなさい。

 おわり。