かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

ことば

 彼女は文章に対して凄く敏感だ。

 僕も文章というものに対してこだわりがある方なので、彼女のこだわりとか気になる部分に対して共感できる部分は多い。

 今これを書いていて思い出したエピソードがあった。

 「安すぎてごめんなさい」的な宣伝文句を巷で見かけたことはないだろうか。ある日それを見かけた僕は思わず写真をとって彼女に送った。売る側が値段が安いことで謝るって意味がわからない。こういうのって凄くバカっぽくて好きじゃない、という思いを写真に乗せて。それ見た彼女の反応は僕の期待通りだった。こういうのが面白いとか受けると思ってやっているのが凄くバカっぽいっていうような反応で、自分と同じような意見が聞けて嬉しかった。

 防災対策っていうフレーズもなんとなくしっくり来なくて、これについては彼女と議論したことは無かったように思うけど、こういうなにか引っかかる日本語については彼女に言えば的確な意見が返ってくると信頼している。彼女の正しい日本語の理解度が普通の人よりも高い位置にあると思っているから。

 文章だけじゃなく、言葉遣いにも敏感。言い回しとか場に則した言葉遣いをしていないとかなり気になるようだ。

 僕が前に「じゃあそうするよ」って言い方をしたときに「じゃあってなに?」って返されて焦った。彼女がこうすれば?って提案してくれたことに対して、じゃあそうするって言うと「彼女が言うから仕方なくそうする」というニュアンスが読み取れてしまう。僕自身はそこまで考えていたわけではなくて、思わず出てしまった言葉なんだけど、彼女から見れば気になる部分だったんだと思う。

 自分が意識していなくても、心のなかで何か考えているとそれが思わず言葉に出てしまうことって誰でもあると思う。彼女はそれを読み取るのが凄くうまい。言葉の端々から相手の感情を読み取って、こんなことを思っているんじゃないか、あんなことを考えているんじゃないかって推測する。それをすることで彼女は相手とうまくやっていこうとしている。相手の考えが分かればそれにそって自分が発言したり行動したりすればいい。

 きっと彼女はそれを意識的にというよりは自然にそうしているんだと思う。

 深読みしすぎて不安になってしまっているときとかあるけど、それは僕が気にしなくても大丈夫だよって言ってあげれば済むことなので問題ない。

 彼女にとって文章や言葉は相手とのコミュニケーションツールという簡単な役割だけでなく、相手の考えや感情を読み取るためのものでもある。僕だって文章や言葉から相手がどう思っているか考える、ただ彼女はその文章や言葉により重きをおいているんじゃないかなと思う。

 彼女がどういう風に言葉を捉えているのかというのは完全にではないにしても理解できる。彼女はこういう言い方嫌だろうなとか、こうやって言ったほうがいいのかなっていうのもなんとなく分かる。こういう部分が大きく違っていたら会話が大きなストレスになってしまうかもしれない。でもそういうこともなく彼女と楽しく会話ができる僕はとても幸せだなと思った。