かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

電話

 彼女と毎日のように夜、電話をする。それは僕にとって日課みたいなものだ。

 仕事が終わって家に帰ってきて、お風呂に入って、ご飯を食べて。やるべきことを済ませたらベッドに入って彼女と電話をする。幸せな時間。

 いつの間にか始まってずっと続いているこの日課なんだけど、電話をしているとだいたい彼女が先に寝てしまう。彼女が寝てしまっても電話を切るわけではなく、しばらく僕はぶつぶつ一人で喋っている。これはなんでかっていうと彼女が寝てしまったなーと思ってもふと目を覚ます時があったり、寝ているようで僕の声を聞いているというときがあったりするから。そうなった時にも僕が喋っていれば彼女が安心してくれるかなって思うのだ。一人で喋っているのってなかなか大変だったんだけど、ずっとやってると慣れてきてしばらくの間だったら何かしら話していられるようになった。前に僕の声を聞いていると眠くなるとか、聞きながら寝るのが良いみたいな事を言ってくれたので僕はそれをずっと続けようと思っている。そばにいられれば、頭をなでてあげたり、触れていることで言葉の代わりになるのかもしれないけど、離れているからね。電話越しにできることっていったら話し続けることくらい。

 眠りを妨げないようにしつつ、彼女を眠りに導けるように。眠れない時でも眠れるように。

 ちょうど先日、彼女が眠れないっていう時があった。そういう時は彼女と会話にならなくてもいいような聞き流していられるような事を話すのが良い。だから彼女の可愛い所とか好きな所を喋り続けていた。眠らせてあげられるかどうか不安だったんだけど、うまいこと眠れたみたいで僕はひと安心した。なんだかちょっと寝る前に本を読んであげるのと似ているなって思った。誰かの声を聞きながら寝るのって結構心地よいものだ。

 眠れないのに僕が話し掛けていたら逆効果なんじゃないかって思った時もあった。でも僕の声がうるさかったとしたら彼女は電話を切るだろうし、すくなくとも電話が繋がっているということは僕の声を聞いていても良いと思っていてくれているんだろうという解釈で、しゃべり続けるという選択を取っている。彼女の眠りに寄り添っていられることがとても幸せなのだ。

 僕と電話していて眠くなって寝てしまうってなんだか素敵だと思う。

 ちなみに彼女が寝てしまった後僕はどうするかというと、しばらく喋った後黙っているといつの間にか寝ている。彼女の寝息が電話越しに聞こえてきて心地よい眠りに誘ってくれるのだ。だから僕たちはふたりとも寝ながら電話している。

 何時間かして目が覚めたほうが電話を切っている。といっても僕はあんまり目を覚まさないので、だいたい彼女が切ってくれている。

 電話することで、一日を振り返ったり自分の気持ちや彼女の気持ちを見つめなおすことができる。僕と彼女にとって重要な日課なんじゃないかなって思う。だからといって電話することが義務になってはいけないと思う。電話したいと思う気持ちがあるから電話をするっていう状態が一番いいのだから。

 僕はずっとこれを続けていければいいなって思っている。