かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

ひょうじょう

 彼女には僕がちょっと寂しいなと思っただけでそれが伝わってしまう。僕の表情が分かりやすいというのもあるんだろうけど、それにしたって寂しそうな顔してるなんて自分では思ってない時にそう言われるとちょっと驚く。同時にそれだけ彼女が僕のことを見てくれているんだなって嬉しく感じる。

 僕も彼女の表情はいつも気にしている。表情を気にしているというよりもいつも彼女の顔を見ていると言ったほうが正しいかもしれない。おかげで僕は彼女の些細な変化にも気付くことができるようになった。ちょっとした違和感を覚えて、今日は何かいつもと違うなって思うくらいなんだけどね。どこが変わったかはヒントを貰わないと分からないことも多い。だめな奴。前髪切ったとか、お化粧の仕方がいつもと違うとか。小さな変化があると、いつもより可愛く見えたりするものだ。

 彼女の表情は感情を分かりやすく表してくれるので、何を思っているのかを読み取りやすい。喜怒哀楽の大まかな雰囲気をね。彼女の表情には凄く心を動かされる。嬉しそうな時は僕も嬉しくなってくるし、悲しそうな時はその表情で胸が痛くなる。

 彼女が凄く泣いてしまった時があって、その時僕は身が裂かれるように苦しくなった。涙が頬を伝って流れていくのを放っておけなくて手で拭うんだけど、また次の涙が流れてきちゃって僕はどうしようもなくなって、またその時は彼女を抱きしめてあげるわけにもいかないような状態だったので、それがもどかしくてもどかしくて手が何度か宙をふらふらした。

 泣いてる彼女はとっても弱々しく見えて、何か間違ったきっかけを与えてしまったら折れて立てなくなってしまうんじゃないかとすごく心配だった。今思い出してもちょっと胸が苦しい。

 彼女が涙を流すと、何故かその涙を流れたままにしておいてはいけないような気がしてしまう。それを途中で拭ってあげなければ彼女が本当に悲しみに飲み込まれてしまうような。手遅れになってしまうような。全然そんなことはないんだろうけど、なんだか僕は焦ってしまう。不思議な感覚。

 彼女が泣いている時の表情は悲しみでいっぱいですごくつらそうなんだけど、それがまた魅力的で惹きつけられてしまう。でも同時にこんな顔をさせてはだめだって強く思う。僕はどれだけつらい思いをしてもいいから彼女にこんな表情をさせないようにしようって思った。

 普段彼女は明るくて行動力も発言力もあるから、影を潜めがちだけど本当は傷つきやすくて気にしいで日々不安と戦っているっていうことを忘れてはいけないなって思う。そして僕は常に彼女のそばにいて、味方でいてあげなくてはいけないなとも思う。