かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

求めているもの

 彼女は自分の悩みや不安を誰かに話して面倒がられることを恐れている。実際にそういう経験をしてきているみたいだ。

 そういう話を聞くと、もっと昔から僕は彼女と出会っていて、彼女の思いを常に隣で受け止めてあげられていたら良かったのにって思う。もちろんそれはできないから、少なくとも今から先は僕が彼女の思いをきちんと聞いて受け止めてあげたいと思う。

 そもそも彼女の悩みや不安は決して身勝手なものではないし、聞いていて面倒に感じる話でもない。

 仮に彼女の話を聞いてそんなことで悩んでいるのかと思う奴がいたら、それは相手の気持ちを考えられない最低のクズだ。

 彼女は明るく振る舞っている裏で、常に周りにどう思われているか、嫌われていないかって不安な気持ちがあって、それと戦っている。明るく元気な彼女という表面だけを見ていれば、彼女は悩みがないカラッとした頼れる存在にみえるだろう。彼女が意識的、あるいは無意識的に演じているその明るい性格は、本来の弱い彼女を隠してしまうほど自然だ。他人にどう思われているか気にして、自分のした発言を後で気にしてへこむような本来の彼女は見えてこない。見えてこないからこそ、周りは彼女に対して無神経な発言をして傷つけるし、彼女の深層にある悩みに気付いてあげられない。

 彼女が人と接するために築きあげてきたその性格は、人当たりがよく、壁を感じさせないオープンな感じを与え、快活で頼りがいがある。恐らくだけど、彼女はどんな人とでもある程度は仲良くなれるんじゃないかなあと思う。

 あ、誤解を与えそうだから一応言っておくと、本来の彼女も明るくて元気で可愛いよ。でも対人用の彼女(この言い方変だけど他に思いつかない)は僕から見ると無理をしているようにも見える。本来の彼女よりも更に元気で明るくしているような。無理をして見えるというか、多かれ少なかれ無理はしているんだと思う。だから彼女は時折それに疲れてしまう。彼女が自発的に元気に明るく振舞っているというのもあるんだけど、どうも周囲が彼女にそのポジションを求めている気もする。だから、彼女は周囲の求めを察して無理をしてしまう。

 本当は弱音を吐きたいし、それを受け入れて貰いたいんだろうけど、それを言うこともできず溜め込んでしまう。それがずっと溜まって大きくなってしまうと彼女はそれに潰されてしまう。僕はそうならないように彼女を助けてあげたい。

 周りは元気な彼女を求めるし、彼女は弱音を吐いて面倒だと思われるのが怖い。そんな状態では彼女が辛すぎる。幸いなことに、僕はその辛さを理解してあげられる。彼女の話を聞いてあげられる。彼女のそばにいてあげられる。彼女が溜め込んでいるものを吐き出す場所を作ってあげられる。

 僕が彼女に求めているものと、彼女が僕に求めているものは合致していると思う。それに対して周囲が彼女に求めているものと、彼女が周囲に求めているものはずれているんだと思う。いや、彼女は周囲に求めることすらできていないのかもしれない。だからただ彼女は周囲の求めを察してそれに応えている。察する力があるからその求めを無視できないんだよね。凄くよく分かる。

 彼女の周りには彼女の求めを察してあげられる人が少なすぎる。だから僕くらいは彼女の求めていることを察して、彼女の気持ちに応えていきたい。彼女の全てを受け入れてあげたい。良い部分も悪い部分も。良い感情も悪い感情も。