かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

静かなアピール

 今日は何について書こうかね?

 そういえば職場について、ぼかして書いてたけど今後多少なりとも触れていくことが予想されるので、端的に言っておくととスーパー的なところです。

 品物並べたりレジしたりという作業をしているんです。そう、彼女のレジ対応は素晴らしくてね。あんな接客されたら好きになっちゃう人がいてもおかしくない、という感じの接客をしてくれるんです。

 というわけで今日は彼女の接客に魅了された人物を紹介したいと思います。

 職業不明、年齢不明、名前は一応判明している。男性。身長高い。年齢はたぶん30代後半か40代。これは僕の推定なので正直自信ない。独身。これは間違いない。なんかシャイ。シャイって死語?なんていうのがいいの?とにかく、おどおどしてるような、きょろきょろしてるような、不思議な人。

 ここに書く為に名称が必要なので、便宜上彼のことは御曹司と呼ぶ。会社に勤めてるような雰囲気がないし、彼が仕事をしている姿が思い浮かばないので、親がお金持ちの御曹司なんじゃね?という彼女との会話より命名。

 普段我々の間では本名の苗字で呼んでるんだけど、ここではさすがにそれは使えないからね。

 御曹司は彼女がレジをしていると必ずそのレジを通ろうとする。その姿が面白い。レジの近くの商品を見るふりをして彼女のレジに並ぶタイミングを見計らい、そんなことをしていたと悟られないようにすました顔でレジに並ぶ。そして彼女が商品を通している間、彼女を凝視する。ガン見。僕はいつも彼の視線を観察しているのだが、まったく目線を外さない。まじでガン見。ちょっと心配になるレベル。しかもちょっとニヤッとしている。いやらしい。よくお前そんな顔して女の子をガン見できるなって最初は思った。でももうなんかそれが普通になってきた。とりあえず彼がレジに並ぶと僕は笑いをこらえるので必死だ。

 レジでなくても彼女と一緒にいる時に御曹司を見かけると笑ってしまう。なんか視線を感じるのだ。二人でいる所を彼が見て何を思っているのだろうと考えると笑えてくる。一回そんな状況になったときは二人で笑ってしまって大変だった。またその二人で楽しそうに笑っているのが、彼にはどう見えているのだろうって考えると笑えてきて、もう止まらないよね。笑いの連鎖。

 ちょっと話がそれたけど、彼女のレジを毎回努力して通って行く御曹司の健気な姿はかわいらしい。おっさんに対してかわいいっていうのも若干抵抗があるけど。

 たまに彼女と言葉を交わしている時があるんだけど、基本的に内気なのか御曹司から積極的に声を掛けてる感じはない。でも会話をした後の嬉しそうな感じを見るに、相当彼女のことが好きなんだなあと思わされる。会計が終わった時に目を合わせようとしてる感じとか、彼女が近くを通るのをさり気なく待ってる感じとか、なんかむかつくよね。いや、いいんだけど。なんか嬉しそうな笑顔の奥にいやらしさが秘められてる感じがしてむかつく。あの人は帰ってから彼女のレジを通ったことを思い出して、彼女の事を思い浮かべてニヤニヤしてるに違いない。嫌だ!そんなの嫌だ!彼女をお前の妄想に連れてくるな!汚らわしい!

 そんな訳で観察の対象としては非常に面白いのだが、僕は彼がどうにも気に入らない。気に食わない。

 彼女のレジに並ぼうとする必死さと、彼女をじっと見つめる感じと、彼女を見る嬉しそうな顔が気に食わない。でもお客さんだからね。僕は御曹司のために彼女のレジに並べるようにちょっと協力してあげることもあるくらいだ。お客さんは大事にしよう。

 そんなこんなで御曹司が熱烈な彼女のファンであることは疑う余地がない。ないよね?

 本当に御曹司だったら彼女に貢いでもらいたい。ちょっと僕にも分けてもらう感じで。

 別に御曹司じゃなくても彼は彼女の写真を一枚1000円とかで売ったら買ってくれそう。5000円でも買ってくれそう。

 彼は少年のような純粋さみたいなものを纏っていて、なんかうまいこと騙せば本気でお金出してくれそう。やらないけど。

 御曹司が彼女のことをどこまで好きか、どんな風に見ているのかは完全に想像でしかないんだけど、でもきっと彼は彼女の魅力にやられちゃった人の一人なんだろうなと、同じように彼女の魅力にやられちゃった僕は思うのでした。

 終わり。