かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

喜ばせ屋

 彼女を大喜びさせる難易度はかなり高い。

 僕が安易な選択をして、楽をして彼女を喜ばせようとすると、彼女はそれを察してしまう。楽な方法を選んだなとか、手を抜いたなってのがバレる。もっと努力の余地があったことを悟られてしまう。

 例えば、彼女がチーズを食べたいと言っていたとする。僕はスーパーかどこかで手頃なチーズをこっそり買っていって、彼女に渡す。そうすると彼女はチーズを食べたかったから喜んでくれるわけだが、大喜びはしてくれない。

 それはどうしてかというと、彼女がチーズを食べたいといった時点で、僕がチーズを買ってくるという可能性が生まれているからだ。

 彼女が買ってきて欲しいなーと思っていなくても、その可能性は生まれる。

 彼女は自分の発言が生む影響力について深く考えて話をする。だから、チーズ買ってきて欲しいとは思っていないけれど、チーズを食べたいということで、僕がチーズを買ってくるかもなっていう風に考えているはずなのだ。

 そこにチーズを買ってきて欲しいという下心はない。買ってきて欲しければストレートに言ってくれるしね。わざわざこんな風に、察して!みたいな言い方はしない。

 そんな中、僕は彼女を喜ばせようとチーズを買ってくる。

 すると彼女は「チーズ食べたいって言ったから買ってきてくれたのか」っていう感謝の気持ちを持ってくれるはず。喜んでもくれると思う。

 でもそれは想定の範囲内の出来事であって、大喜びするほどの爆発力はない。

 ここで彼女を大喜びさせるには、彼女の予想を上回る何かを用意しなければいけない。

 見たこともないような珍しいチーズが沢山入った詰め合わせをあげるとか、彼女がちょうど食べたいと思っていた種類のチーズをあげるとか、パッケージデザインが素敵なチーズをあげるとか。方法は色々ある。

 いずれにせよ、彼女が考えてもいないこと、想像もつかないことを提供するのが一番良い。

 ただし、意外性だけを求めるのもよくない。

 彼女がもらって嬉しいのはどんなものかというのを考えて、そこの部分を一番優先させなければならない。意外性に目がいって、彼女自身を無視したら意味が無い。

 たくさん考えて、悩んだ結果、これにしました!っていうのがあれば、ただのチーズだって彼女は喜んでくれると思う。

 なんていうか、彼女を喜ばせるのは難しいって書いたけど、彼女のことを考えて、彼女のために全力を尽くすことができれば、難しくはないかも。うーん、僕にとっては難しくないだけかな。

 彼女のことを考えて、彼女のために全力を尽くすことが僕の喜びだから。いくらでも頑張れる。

 彼女のことが好きで、彼女のために何かしてあげよう、喜ばせてあげようって思う人はたくさんいる。けれどその人たちは、わりと浅はかで、安易な選択をするために彼女を大喜びさせられないってことが多い。

 僕は彼女のために全力を尽くせるけど、他の人たちはそうもいかないんだろう。

 もちろん、彼女をちゃんと喜ばせてくれる素敵な人だっている。そういう人はしっかり彼女のことを考えて、彼女を理解してくれているんだろうなって思う。

 彼女を喜ばせたければ、彼女のことを考えてたくさん努力することだと思う。そうすればするほど、彼女を喜ばせる難易度は下がっていくはずだ。

 彼女を喜ばせるためには、自分との戦いになるのかもしれない。

 おわり。