かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

あたらしい車

 今日は彼女と一緒に仕事だった。

 彼女の精神状態はやっぱりあまり良くないらしく、ピリピリしているようだった。

 彼女と目があった時にイライラしている時の目をしていることに気付いた。どうした?って聞いたんだけど、タイミングが悪く話を続けられなくてなにがあったか分からなかった。

 そこで僕はもしかしたら自分が知らず知らずのうちに何かやってしまったのかもしれない、と思った。でもなにも失敗した覚えがない。ということは僕が無自覚になにかやらかした可能性がある。以前、僕の不注意によって彼女が嫌な客の相手をしなくてはいけなくなってしまった時の記憶が蘇ってきた。僕がその人だと気付かず彼女にその客の相手を頼んでしまうという大失敗。あの時の僕も失敗した自覚がなかった。それと同じように今日もなにかやってしまったんじゃないのかとめちゃくちゃ不安になった。

 今日は仕事が忙しくて彼女と話をしようにもその機会をなかなか作れなかった。

 一人で考えていても答えは出ない。心臓はバクバクして手はぷるぷるするし、手汗も出てきてあわあわしていた。一体僕はなにをしてしまったんだって何度んも何度も今日自分がしたことを繰り返し思い出していた。

 実は今日、やっと購入した車が納車されて僕は凄くるんるんだったのだ。駐車場に止まっている自分の車が目に入ると嬉しくなっちゃうくらい。しかし、どうやら彼女が怒っているらしいというこの状況は、そんな気分など忘れ去ってしまうくらい僕にとって一大事だった。怒った彼女が怖いからとか、怒った彼女が嫌だからとかじゃなくて、僕がなにか取り返しの付かない失敗をしてしまったのではないかという焦り。同じ失敗をしないと誓ったのにもしかしたらまた同じような失敗をしちゃったんじゃないかって思うと気が気じゃなかった。

 しばらく後、やっと余裕ができて彼女と話したら、僕の心配は杞憂だったことがわかった。どうやらいろんな要素が彼女をイライラさせていたようだ。僕が何かしたわけではなかったんだとほっと胸をなでおろした。安心できたとは言っても彼女はストレスを感じている状態なのには変わりない。その精神的負担を軽くしてあげなきゃって思った。そんなたいそうな事ができるわけじゃなくて、ただ彼女と楽しく話ができるようにしようって思っただけ。僕と話すことで気が紛れればいいなって。

 後半多少仕事に余裕ができてからは、ちょっと笑って話ができた。彼女はいつものように笑ってくれるし、面白いことも言ってくれる。でも相変わらず身体と心、両方の調子が良くないみたいで、凄く心配だ。

 仕事終わりには僕の新しい車に乗ってしばらく雑談をした。早く彼女を乗せてどこかへ出掛けたい。