かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

失われた青春時代

 もしも僕が高校生の頃に彼女に出会っていたらっていう妄想をたまーにする。同じ高校で同じクラスだったらなーって。これは僕が彼女と同い年だからこそできる妄想だよね。

 高校生のうちに彼女と出会って付き合ってみたかったなあ。登下校一緒にするのとか、一緒に勉強するのとかさ。甘酸っぱい青春みたいなのやりたかったなあ。

 一方で今の僕が今の彼女と出会ったからこそ惹かれた、という風にも考えられる。当時の未熟な僕では彼女に出会って、よしんば付き合えたとしても、上手く行かずに高校卒業と同時に別れてしまうなんていう道を歩んでいたかもしれない。それに高校時代に出会っていたかったなんて思ってもそれは叶わぬ願いなわけだから、今出会ったというのが最高に良いタイミングだと考えなければ救われない。

 そんな妄想からちょっと発展して、もしも今の僕が高校時代に戻れたらなんていう妄想をした。本とか映画とかであるタイムスリップ物みたいな。記憶は持ったまま過去に戻るやつね。

 中学まで戻れたなら、頑張って勉強して彼女と同じ高校に行けるように努力しなくちゃいけない。彼女の方がレベル高い高校に行ってるからね。二周目という経験値を活かして頑張ればなんとかなるかもしれない。無事同じ高校に通えるようになったら何が何でも多少強引でも彼女に近づいて気に入ってもらわなきゃいけない。同じクラスになれたらいいけど無理だったらどうにか接点を作らないと。部活とか委員会とかそういうのか。強引に話し掛けてもいいか。へたれだからなかなかうまくできないだろうけど、それでもこの状況になったら全力投球する他ない。

 もし高校入学後からのスタートだったら、彼女との接点はほぼ0になってしまうから自ら行動を起こさないといけない。幸い彼女の家は知っているし、通学経路も分かるからそこで偶然を装って出会うしかない。相当難しい。もうストーカーだよね。やばい。そもそも僕を一目見て気に入ってくれる保証なんて全くないから、そこで出会っていきなり声かけたら嫌われる可能性だってある。嫌われるまでいかなくても確実に警戒されてしまう。どうしたらいいんだ。警戒心を抱かせず、好意を持ってもらえるように作戦を練って、タイミングを見計らって、連絡先を交換。高校時代と今とで差異はあるだろうけど根本は彼女だから、きっと会話は弾むはずだ。

 それでね、まあもろもろあって付き合えたとしますよ。そしたら彼女、別の県の大学に行っちゃうんですよね。僕もその大学に行くっていう選択もあるかなあって思ったけど、ちょっと僕のできる事の方向性とは違う大学なのでやっていけないと思うんだよね。そうなると彼女と別の大学に行くか、彼女に別の大学へ行くように説得するか。どのみち僕と彼女のやりたいことというのは一致しないから別々の大学に行くことになるんだろうなあと思うのよね。ぐあー大学は一緒がいい。一人暮らしを二人暮しにして大学に通いたい。あーめっちゃいい。決めた。僕も彼女と同じ大学に行こう。僕は前世の記憶を持った状態という前提を忘れかけていた。前世じゃないけど。とにかく二回目の大学は彼女と一緒でもいいだろう。

 そんで大学卒業したら僕はとりあえずどこかに就職して、彼女と同棲しながら仕事しよう。彼女は好きなことやっていてくれればいい。仕事するでも趣味に没頭するでも、家でだらーっとするでもなんでもいい。仕事終わって帰ってきたら出迎えてほしいなあとは思う。

 それでしばらくしたら結婚してさ、子供生まれてさ、幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたしみたいな人生送れたらよかったなああああ。

 戻ってこい青春。

 でも今の人生楽しいし、彼女といられて幸せだし、後悔は全くしていない。むしろこれで良かったって思ってる。学生時代に彼女と一緒にいられたらそれはそれで楽しくて幸せな日々を過ごせたんだろうけど、この歳になって彼女と一緒にいられることがその日々に劣っているとは思わないから。ただまともな青春時代を送ってこなかった僕はそれへの憧れを捨てきれないだけで。

 今が遅れてやってきた青春なのかもしれないと思えばいいのかな。僕の人生で彼女といる今が最高に楽しいもんね。これが青春か。