かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

いちねん

 気付いたら彼女と仲良くなってもう一年以上が経過している。初めて彼女と二人でご飯を食べに行ったのが去年の2月上旬だったと思う。だから昨日焼肉という僕たちにしては豪勢な食事をしたのも、少し遅い一周年記念という思いが僕の中にあった。食べてる時はテンション上がっていて忘れてたけど。

 僕にとって彼女は高嶺の花のような存在だった。可愛くて、とにかく可愛くて、仕事ができて、頭が良くて、人格者で。あまりに魅力的で素敵な人だった。僕の今まで歩んできた人生を踏まえると、本来ならば彼女のことを遠くから見つめて、可愛いなあと思いつつもその気持ちを伝えることもできず、ただただ見守るのみというポジションが似合ってる気がする。それくらい僕の人生は女性関係において冷えきっていた。

 だからそんな、一方的に好意を寄せるだけの相手になりそうな人が、僕に好意的に接してくれて、あまつさえ僕の好きという気持ちも受け入れてくれるなんて奇跡のような出来事だったのだ。卑屈になりすぎたかな。いや、これくらいでちょうどいいはず。

 とにかく僕からみたら彼女は素敵過ぎるくらいに可愛くて僕の好みにピッタリだったのだ。

 だから彼女と一緒に出掛けて歩いていれば、こんな可愛い人を連れて歩けるなんて夢のようだと思ったし、これがドッキリで全て嘘ですって言われても納得してしまいそうな現実離れした幸せを感じていた。

 そんな夢のような日々がずっと続けば良いと思っていたけど、同時に彼女が僕に対して魅力を感じなくなってしまうんじゃないかっていう不安があって、いつ一緒にいるのをやめようって言われるだろうかっていう恐怖があった。人生経験においても恋愛経験においても未熟な僕が彼女を満足させられるのだろうかっていう。

 一緒にいたい一緒にいたいっていう言葉の裏には一緒にいられなくなるかもしれないという恐怖があった。だから僕の心には常に、この夢の様な生活が終わってしまうということに対する覚悟みたいなものがあった。

 ずっと一緒にいたい、と言い続けてきたのはその恐怖を打ち消すためだったのかもしれない。一緒にいたいという願いは今のところ叶っていて、僕は幸せな日々を送っている。今でも彼女が特別可愛いと思うし、一緒にいたら可愛い彼女を連れているっていう誇らしい気持ちになる。さすがに高嶺の花とは思わなくなったけどね。

 彼女と出会ったばかりの僕や、彼女と仲良くなったばかりの僕でさえ、一年後も彼女とこんな風に仲良く楽しく過ごせていることを知ったら驚くんじゃないかな。

 彼女と過ごす日々が、夢のようで現実が薄い幸せな日々だったのが、今は幸せにあふれた実感のある日々になったくらいの変化はあるのかなって思った。

 でもやっぱり、僕が彼女と一緒にいられるのは奇跡のようなことだと思うよ。何かが少しでも違っただけで、僕は彼女を遠くから見守るストーカーになっていたんだろうから。